#783 DIGGER ディガー

イベント・リポートをお届けした映画『DIGGER ディガー』。

好き放題、やりたい放題の権力者、ディガーのせいで、世界は大変なことに! なにか今の世界を思わせるストーリーですが、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督がメキシコの劇作家・作家であるサビーナ・バーマンと脚本を書き始めたのは2017年というから、映画と事実が重なっていく不思議を感じずにはいられません。

映画監督にも、ミュージシャンの歌詞にも、こうした予言めいたことが起こることはよくあるように思います。今の世界を思うと、なんとも複雑な気持ちになりますが、映画は、その事実を爆発的なエネルギーでコメディに昇華していて、ものすごくダイナミック。イニャリトゥにしか撮れないなと思わせる映画になっています。

主演のトム・クルーズも2000年の『アモレース・ペロス』を観て以来、イニャリトゥ監督と組みたいと思っていたと記者会見で語っていましたが、悲劇的な話だけど、なんともスクリーンに惹きつけられる魅力があり、その後も『21グラム』でベニチオ・デルトロと来日したことも懐かしい。

どの映画も非常にエネルギッシュ。今回、トム・クルーズと来日されても、舞台に上がった短い時間の行動や言葉だけでも、その熱さの片鱗を感じることができます。

『レヴェナント: 蘇えりし者』や『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』と作品を経るごとにスケールが大きく広がり、Vista Visionを採用して撮影されたという今回の作品も、ただならないエネルギーを感じます。

そんな膨大なエネルギーを、芝居の巧い豪華キャストで、コメディの方に全振りした映画、といったら『DIGGER』がどんなエネルギーの映画か伝わるでしょうか。

全体的に面白いのですが、やはり惹かれるのは巧い役者たちの芝居。今回の『DIGGER』、演技の巧い俳優を観るのが好きという方に、たまらない映画なのです。

トム・クルーズの他にも、『落下の解剖学』の演技で注目されたドイツの俳優、ザンドラ・ヒュラーや、ジョン・グッドマン、そしてジェシー・プレモンス。

俳優なら一度はやってみたい、逆に言えば、生涯にそう何度も演じる機会のないような芝居の見せ場があって、やはりこの映画のトム・クルーズといえば、そこではないでしょうか。

しかしながら、その見せ場がそこで終わらず、後半に進むほど、ジョン・グッドマンやジェシー・プレモンス、それぞれの見せ場があり、観客の心を持っていきます。こういう役者の巧さと魅力で見せる場面、本当に楽しい。

全編をワンカットで撮った『バードマン』なんて芝居好きでなかったら撮らないだろう映画ですが、監督と「この演技、いいね」を共有できる映画の楽しさ。予備知識なしで観た方がよい映画だと思うので詳しくは触れませんが、さまざまな巧い俳優たちの演技が次々に押し寄せる本作。楽しんでみませんか?

 

文:多賀谷浩子

全国公開中 公式サイト:https://digger-movie.jp/
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