#739 第35回東京国際映画祭

昨年から大きく体制を変え、会場を日比谷・有楽町・銀座周辺に移した東京国際映画祭。

有楽町駅前に上映作品の大きなボードが設置され、街ゆく人たちが足を止める光景が見られましたが、今年もそんな季節がやってきます。

さまざまな作品が上映される中、映画祭の顔である「コンペティション部門」には日本から3人の監督の作品が。『トイレのピエタ』(15)や『ハナレイ・ベイ』(18)などで知られる松永大司監督、『愛がなんだ』の今泉力哉監督は、すでに注目している方も多いと思いますが、ここで取り上げたいのが福永壮志監督。

こちらのサイトでも『リベリアの白い血』がSKIPシティ国際Dシネマ映画祭に出品された際にインタビューさせていただきましたが、こちらはニューヨークに渡ったリベリアの青年の苦悩を描いた骨太な作品でした。

その後、第2作目『アイヌモシリ』が2020年に公開。監督の出身地である北海道を舞台に、今を生きるアイヌの少年の物語を描き、この監督の「らしさ」を感じさせながら、着実に作品を送り出し続けている監督です。

今回、上映されるのは新作『山女』。18世紀の東北を舞台にした少女の物語です。主演するのは映画やドラマで徐々に注目が高まっている山田杏奈。ただ立っているだけでも印象が残る、若い頃から芝居熱を感じさせる女優さんだけに、この作品でさらなる魅力が花開いていそうで楽しみです。

また、今年の特集で取り上げたいのが青山真治特集。『EUREKA ユリイカ』(00)『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』(05)の2作品が上映されます。上映後にはゲストを招いてのトークも行われ、その場に行くのは難しいという方も映画祭の公式YouTubeで開催後も視聴できます。

そして3年前から行われている国際交流基金との共催企画「交流ラウンジ」ではツァイ・ミンリャン監督×深田晃司監督など、今年も気になる組み合わせが。こちらも公式YouTubeで視聴可能です。

ツァイ・ミンリャン監督の作品は、今年はフィルメックスとの共催上映が行われ、東京国際映画祭では黒沢映画のスクリプターとして知られる野上照代さんを迎えた『秋日』(15)のほか、観られるのは貴重な機会の短編全4作が上映されます。映画の秋、楽しんでみてはいかがでしょうか。

10月24日~11月2日まで開催。

公式サイト:第35回東京国際映画祭(2022) (tiff-jp.net)