#777 第33回 フランス映画祭 2026 リポートvol. 1 ~ソフィー・マルソー久しぶりの来日~

3月19日~22日の4日間、渋谷で開催中のフランス映画祭。

今年で33回を迎えましたが、横浜や六本木、様々な場所で開催されてきた、それぞれの年のこと、思い出される方も多いのではないでしょうか。

横浜で開催されていた頃の、来日ゲストと客席がじっくり会話を楽しむ、終了予定時刻が来ても止まることのない、ゆったりとしたQ&Aの模様も懐かしく思い出されます。

渋谷に戻ってきた今年。会場のBunkamuraル・シネマ宮下、ユーロライブには、若い観客も、往年のフランス映画祭ファンも見られ、会場は静かな熱気に包まれました。

20日に上映された『LOL 2.0』では、ソフィ・マルソーが来日。チケットが手に入らなかった方も多いだろう上映会のQ&Aの模様。余すところなく、お届けします。

まずは、登壇された3人の皆さんから、ごあいさつ。

リサ・アズエロス監督「こうして目の前で、自分の作品が上映されることに感動しています。日本は、どこかに行くなら日本というくらい大好きな場所ですから」

ソフィ―・マルソーさん「日本に来るのは毎回、とてもしあわせなことです。しかも今回は『LOL 2.0』の前作から17年ぶりの続編で来られました。前作の子どもも大きくなって、私たちも成長して、また新たな家族の物語になっています。皆さんの前で上映されることをうれしく思っています」

タイス・アラッサンドリン(ソフィーの娘・ルイーズ役/脚本)「こんにちは。私は日本のアニメ文化とともに育ちました。だから、ここで皆さんにお会いできてうれしいです。先ほど、ソフィも言ったとおり、今回は続編なので、さらに成長して皆さんと再会できることがうれしいです」

最初にMCの方からの質問。

「アズエロス監督は、なぜ続編を作ろうと思われたのでしょうか。ソフィさんはそれを伺っていかがでしたか?タイスさんは、今作はタイスさんの演じるルイーズの物語になっていますが、脚本にも参加されています。どんなところを担当されたのですか?」

アズエロス監督「これまで私の映画では、人生のさまざまなステージを描いてきました。今回もそうです、ソフィが体現する世代、私の世代、そしてタイスが体現する25歳の若い世代、続編から時間が経ち、家族のかたちも新しくなっています。そんな新しい人生のステージを描きました」

ソフィ―さん「リサと組むのは4作目なのですが、時代の風をキャッチするのがうまくて、いつも彼女の作品に魅了されます。人生にはさまざまなステージがある、本当にそうですよね。こうして日本に来ると、とても久しぶりで、若い頃に来日した時のことを思い出します。若い頃もそうですし、人生のそれぞれのステージというのは豊かなものだなと思いますね。それを映画で描けるのは素敵なことだし、リサとの4作目、『LOL』の第2弾に出演できてうれしく思います」

タイスさん「この作品のテーマを考えると、ひとつは『継承』。その美しさを感じます。物語の中はもちろんですが、物語の外でも、脚本家になりたいと思っていた私が尊敬する母(本作のプロデューサであるイラン・アラッサンドリン)のもとで脚本に参加させてもらうことができました。母の世界観に少し私の世界観をプラスして、調和した脚本にできたかなと思います」

タイス・アレッサンドリんさん  劇中でソフィーの娘役ルイーズを演じています

ここからは、客席の皆さんからの質問。

「愛や人生、普遍的なテーマを感じました。これからの人生、やりたいことがあっても、リスクを考えると踏み出せないことがあります。皆さんは、どういうバランスで選択をされてきましたか?」

すると「どんなリスクがあるのですか?」と気さくに問いかけるソフィーさん。その答えを聞いて、「ぜひ実行してください」と背中を押します。そして、こんなお話を。「選択には選べる自由もありますよね。理性と心が求めるものは違うこともありますが、人生は一度きりです。心の声を聴いてください」

リサ・アズエロス監督

そして次の質問「前作から長い時間が経ちましたが、その間に社会と女性の生き方も変化しています。それについて、またこれから先、こうなっていったらいいなということ、教えてください」。

アズエロス監督「男性も女性も仲良くやっていけたら。いい友人でいられたらいいですね」

ソフィーさん「(演じた)アンは自立しています。仕事もして、育児もして、子どもも巣立ち、おばあちゃんといわれる年齢になった。けれど、女の人には、そこでちょっと立ち止まる時間があると思うんです。まだまだやりたいことがあるのだと。リサも言いますが、やりたいことは、これからいつでも始められる。家族のために過ごした時間を経て、子どもたちに頼られてきた自分が、今度は子どもたちに頼ることも出てきて、家族の関係性も人生も進化していく。それは何かが失われていくことではなくて、年齢を重ねるのは、可能性が広がることなんだということを覚えておいてほしでいです」

タイスさん「この映画を観ると、誰かに共感したくなるのではないでしょうか。デジタル社会で、感情が薄れている今、家族や人間の絆を大事にすることや、SNSで写真や動画を撮ったりするだけではなく、今この瞬間を大事にすること、この映画で感じてもらえたらうれしいです」

そして次の質問。

「マルソーさんには以前、六本木で開催されたフランス映画祭でお会いしましたが、またお会いできてうれしいです」と言われると、「メルシー」と笑顔のソフィーさん。「質問ですが、深いテーマの中にくすっと笑えるところがたくさんありました。脚本に笑いをミックスする過程を伺えますか?」

するとアズエロス監督「皆さん、こういうことはありませんか。神妙な場所で静まり返っていると、思わず笑ってしまうようなこと。例えば、不謹慎ですが、お葬式とかね。人生の笑いとは、そういうものだと思います。不条理と笑いが混ざり合っている。そんな私たちの日々や人生を映し出せたらと脚本を書いています」

さらに次の質問。

「ソフィ・マルソーさんの起用に意味のある作品。例えば、この映画の『ヘッドフォンを外して』というシーンに『ラ・ブーム』を思い出す方も多いのでは。彼女の起用について教えてください」

アズエロス監督「ソフィというのは役を超え、すばらしい人間性の人。彼女が体現しているのは、自由、愛、そういうものがこの作品にも見られるから、彼女のフィルモグラフィーと重ね合わせて観てくださったのではないでしょうか」

そして、もうひとつ「ソフィさんにはすごく母性を感じます」。

すると、ソフィさん「愛や家族、女性の視点から見える世界は、以前とずいぶん変化してきたなと思います。育児しながら、思い切り仕事もできる。子どもや孫との関係性も変わってきて、女性の人生が豊かになってきているのを感じます。フェミニズム的なことを言うつもりはないのですが、女性から見える世界が、物語の中にも描かれるようになってきましたよね。幸い、フランス映画にはますます女性の監督が出てきて、女性の視点が映画に反映されています。今回の作品は監督であるリサが、私の中に母であり、友人であり、ちょっとした一夜の恋人であり、恋する女性であり、女性のいろいろな側面を見てくれたのだと思います。リサはロマンティックな人ですから」

そして最後の質問が。「この映画の中でおばあちゃんになります。おばあちゃん役はいかがでしたか?」

すると、ソフィーさん「映画の中で演じたことで、自分の人生のちょっとしたリハーサルをしたような気分です。私自身は、おばあちゃんまで、まだ少し時間がありそうですから。友人と会うと、「今、どんな映画をやっているの?」と聞かれるのですが、「『LOL』の続編を作っているんだけど、おばあちゃん役をやるのよ」と伝えたら、「嘘だろ!」とものすごくびっくりした男性が二人いて(笑)。面白かったですね。それは、私がおばあちゃんをやることに驚いたのか、それとも自分もそんな年になったんだということに驚いたのか、私にはわかりません(笑)。『ラ・ブーム』の時はドゥニーズ・グレイというすばらしい女優さんが私のおばあちゃん役を演じてくださって、今回はフランソワーズ・ファビアンが私のお母さん役をやってくださいました。おばあちゃんのこんなに素敵なロールモデルに出会えていることが、ラッキーだなと思います。おばあちゃんには体力も必要。しっかり体力をつけて、いいおばあちゃんになりたいと思います」

 

第33回フランス映画祭 2026

2026年3⽉19⽇(⽊)〜3⽉22⽇(⽇)

会場:Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、ユーロライブ

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