#765 第26回東京フィルメックス

今年も11月21日(金)~30日(日)まで有楽町・朝日ホールを拠点に開催される東京フィルメックス。この期間を毎年、楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。

今年も気になる作品がいろいろ。映画祭の顔、コンペティション部門の作品を見ていきましょう。

まず、気になるのが、『わたしたち』で注目された韓国のユン・ガウン監督の『The World of Love』。

『わたしたち』は日本では2017年に劇場公開されました。小学4年生の3人の女の子たちの、夏休みを挟んだ人間模様。

多くの人が自身の中にある子ども時代と共振するような、細やかな機微で少女の心の葛藤を描き、高く評価されたユン・ガウン監督。今回の作品は17歳の女性が主人公です。

高校に通う彼女が発した、ある一言。そのたった一言が校内で騒ぎになり、やがて彼女の日々に波紋をもたらしていく過程を、やはり繊細な心理描写で描いています。『わたしたち』がよかっただけに、期待が募ります。

時代の流れか、今年のコンペティションには、女性である監督が少女を描いた作品が目立ちます。例えば、『女の子』は、日本でも人気の台湾の女優、スー・チーが初めて監督をつとめた作品。

期間中はスー・チーを招いてトークイベントも行われるとあって、アジア映画ファンの間で早くも話題になっています。その模様も後日、お届けしたいと思います。

内向的な少女が、抑圧の中で自らの人生を見出していく物語ということで、彼女自身が脚本・監督を手掛けた作品だけに、スー・チーがどんな物語を語るのか、注目が集まります。

そして、『左利きの少女』は、アカデミー賞を受賞した『ANORA アノーラ』のショーン・ベイカー監督が共同脚本・編集・製作として参加している作品。

『ANORA』は、夜の世界で働く女性が一夜にして壮大な玉の輿に!? と思ったら――。「玉の輿」後に押し寄せる現実に、ヒロインが向かっていく姿が力強い現代版シンデレラ・ストーリー。

今回の『左利きの少女』は、左利きであることから、とある問題を抱えた少女が、台湾の夜市で麺屋台を始めるシングルマザーのお母さんとお姉さんと生き抜いていく、家族の物語。いきいきとしたスチール写真から、観てみたい!と思った方も多いのではないでしょうか。

さて、ここで触れておきたいのが『アメーバ』。

世界の三大映画祭しかり、国際映画祭には、若手の才能を発掘するプロジェクトがありますが、『アメーバ―』はフィルメックスが毎年行っている新たな才能を見出すプロジェクト、タレンツ・トーキョーの出身監督であるタン・スーヨウ監督の作品。

シンガポールを舞台に、エリート校に転校してきた高校生が、3人のアウトサイダーと意気投合。スクールカーストや厳しい校則に反発を感じながら、自分たちの未来を探っていく模様を描いているとあり、タン監督ならではの描写が楽しみです。

また、コンペティション部門のほかにも今年のフィルメックスで気になるのが、ラモン・チャルヒャーの特集上映。

2013年の『ストレンジ・リトル・キャット』、21年の『ガール・アンド・スパイダー』、その3年後の『煙突の中の雀』。

1作品ごとに触れたことはあっても、「動物三部作」と呼ばれる3作品を通して、チャルヒャー監督の作品を浴びられる貴重な機会です。

フィルメックスのウェブサイトに掲載されているスチール写真だけでも、その美しさが感じられ、これは観ておくべき映画だなと感じる映画好きの方も多いことと思います。チャルヒャー監督は、今年のフィルメックスの審査員でもあります。

ご紹介した作品どれも監督や関係者の来日が予定されています。映画を観たあとに、作り手の話を聴くことができるのも映画祭の魅力。会場で深く1本の映画に触れてはいかがでしょうか。

文:多賀谷浩子

11月21日(金)~30日(日)東京・有楽町・朝日ホールにて開催

公式サイト:https://filmex.jp/