#705 響きあうアジア 2019「東南アジア映画の巨匠たち」~ 『見えるもの、見えざるもの』 カミラ・アンディニ監督インタビュー

 

皆さんは、カミラ・アンディニという映画監督をご存じですか?

1986年生まれの彼女は、インドネシア映画界を牽引してきたガリン・ヌグロホ監督の娘さん。デビュー作『鏡は嘘をつかない』(11)が東京国際映画祭でも注目され、第2作『見えるもの、見えざるもの』は2年前の東京フィルメックスで最優秀作品賞に輝きました。

そんなカミラ監督が先月、来日しました。東南アジアのパワフルな名匠たちの作品を集めた特集上映<響きあうアジア 2019「東南アジア映画の巨匠たち」>で『見えるもの、見えざるもの』が上映されたのです。

こちらの映画は残念ながら日本でまだ配給されていませんが、インドネシアならではの表現で、病の弟を案じる主人公の心のありようをみずみずしく描いています。以前からお話を伺ってみたかったカミラ監督にインタビューさせていただきました。

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#704 メモリーズ・オブ・サマー ~ アダム・グジンスキ監督インタビュー ~(2)

 

前回に続いて お届けするのは、公開中の『メモリーズ・オブ・サマー』を手掛けたポーランドの注目監督、アダム・グジンスキ監督のインタビュー。

主人公は12歳の少年、ピョトレック。30代のお母さんは夫が出稼ぎに出ている淋しさから、12歳の息子にどこか恋人のように接します。

境界線をにわかに踏み越えそうな母子関係の危うさが、70年代のちょっと懐かしい空気と共に、観た人の心に焼き付くような瑞々しい夏の風景の中に描かれています。

グジンスキ監督はどんな思いから、この物語を描こうと思ったのでしょうか。

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#703 メモリーズ・オブ・サマー ~ アダム・グジンスキ監督インタビュー ~(1)

 

道路の水たまりに、後ろ姿の母子が映るーー

この美しいオープニング・シーンを観ただけで、映画館に観に来た人は「来てよかった」と思うのではないでしょうか?

3月にご紹介した『希望の灯り』のトーマス・ステューバー監督といい、世界にはまだまだ知られざる才能溢れる監督がいるもの。

ポーランド出身の注目監督、公開中の『メモリーズ・オブ・サマー』を手掛けたアダム・グジンスキ監督にインタビューしてきました。

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#702 こどもしょくどう 日向寺太郎監督インタビュー(4)

 

2ヶ月にわたって掲載してきた『こどもしょくどう』日向寺太郎監督のインタビューも、今回が最終回。

映画が「エンターテイメントのひとつ」として消費されがちな傾向にある昨今。あらためて1本の映画の製作過程に目を向けてみると、そこには観客が受け取りきれないほどたくさんの「決定」が詰まっていることに気づかされます。

映画作りは、ゼロから作品世界を作り上げる作業。何気なく観ていると気づかない細部に至るまで、ひとつひとつを決定しながら1本の作品ができあがっている。『こどもしょくどう』のそんな「ひとつひとつ」。少しだけ掘り下げてみたいと思います。

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#701 こどもしょくどう 日向寺太郎監督インタビュー(3)

 

子どもの7人に1人が貧困状態にあるといわれる今の日本。平和な「平成」の影にある、声にならない子どもたちの声をすくいあげた映画『こどもしょくどう』が全国で上映されています。

日向寺監督のインタビュー第3回。今回は、子どもの視点から子ども食堂を描いたこの映画を、大人の視点から考えてみたいと思います。

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#700 こどもしょくどう 日向寺太郎監督インタビュー(2)

 

先週、ご紹介した映画『こどもしょくどう』。

子ども食堂というものが必要とされ、世の中に生まれる背景には、社会の片隅に生きる子どもたちの声にならない声があるーー。そこに焦点を当てたところに、この映画の美しさがあるように思います。

子どもたちの自然な演技を引き出した演出には、ある大きな「賭け」があったそうです。どういうことなのでしょうか。今週も日向寺太郎監督のインタビューをお届けします。

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#699 こどもしょくどう 日向寺太郎監督インタビュー(1)

 

3月23日に岩波ホールで公開された映画『こどもしょくどう』。先週末4月6日(土)からはヒューマントラストシネマ有楽町他に上映館を移し、公開規模を広げて上映されています。作品のこと、映画の撮影が行われた両国・あづま家さんで、日向寺太郎監督に伺いました。

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#698 希望の灯り トーマス・ステューバー監督インタビュー(2)

 

上映中のドイツ映画『希望の灯り』。

前回に続いて、来日したトーマス・ステューバー監督とともに、この映画の魅力を掘り下げていきたいと思います。

前回、「この映画のスーパーマーケットは、ひとつの神聖な宇宙」というお話がありましたが、この店でさり気なくお互いを見守りながら、緩やかな共同体を築いている孤独を抱えた登場人物たち。その様子がいいのです。

まずは、こちらの二人。

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#697 希望の灯り トーマス・ステューバー監督インタビュー(1)

 

オープニングは、誰もいない深夜のスーパーマーケット。蛍光灯の灯りが静寂を照らす中、映画に流れてくるBGMはヨハン・シュトラウスの『美しき青きドナウ』。なんだかここがとても優雅な場所のように思えてきます。

その中を音楽に合わせ行き交うのは、バレリーナのように華麗な動きを見せるフォークリフト。この詩情とユーモア。ほんの数分の冒頭シーンだけで、新たな才能を予感させます。

その「才能」、ドイツのトーマス・ステューバー監督が手掛けた映画『希望の灯り』が本日4月5日(金)からBunkamuraル・シネマほかで上映されます。公開に合わせ、監督とともに、この映画の魅力を掘り下げていきたいと思います。

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#696 第31回東京国際映画祭リポート vol.2

 

今回も、前回に引き続き、10月に開催された東京国際映画祭のリポートをお届けしたいと思います。

例年、こちらのコーナーでは、その年の東京国際映画祭で気になった1作品に焦点を当て、監督にお話を伺ってきましたが、今年の1本は「アジアの未来」部門で上映された『はじめての別れ』。

中国の新疆ウィグル自治区を舞台にした作品ですが、映像で物語る力が強く、何より主人公の子どもたちが鮮やかでいきいきしている。このインタビューの後、「アジアの未来」部門の「作品賞」の受賞も決まりました。

監督は、1987年生まれのリナ・ワンさん。なぜ、この映画を撮りたいと思ったのか、子どもたちの自然な演技はどう撮影されたのか、そして監督が映画作りに大事にしていることはーー? たっぷりと伺いました。

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