#707 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』 レオナルド・ディカプリオ&クエンティン・タランティーノ 会見レポート(2)

 

映画の舞台は、アポロ11号の月面着陸に沸いた1969年。ヒッピー・カルチャーが盛り上がり、TVスターが映画へと活躍の場を移していく返還期。

そんな時代を生きているのが、時代の波に乗り切れないかつてのTVスター、リック・ダルトン(レオナルド・ディカプリオ)と、彼が雇ったマイペースの付き人兼スタントマンのクリフ・ブース(ブラッド・ピット)。

架空のキャラクター二人を、映画の都ハリウッドに実在した人物たちの中に描き、タランティーノならではの遊びを込めながらも、見終わる頃には何とも言えないジーンとした気持ちにさせる映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』。

映画が公開され、すでに観た方も多いのでは……ということで、今回は少し映画の内容に触れながら、前回に続き、レオナルド・ディカプリオ&クエンティン・タランティーノ監督の会見の模様をお届けしたいと思います。

“#707 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』 レオナルド・ディカプリオ&クエンティン・タランティーノ 会見レポート(2)” の続きを読む

#706 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』 レオナルド・ディカプリオ&クエンティン・タランティーノ会見レポート

 

むかしむかし、ハリウッドでは……

誰もが知る映画の都ハリウッド。その「面白い時代」のさなか1969年を舞台に、奇才クエンティン・タランティーノが描いた作品『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』が本日から公開されています。

主演は、これまでも共演が何度か囁かれながらも実現しなかった2大スター、レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピット。二人が演じるのは、落ち目の俳優リック・ダルトンと、彼のスタントマン、クリフ・ブース。

二人のバディがとにかくよくて、ちょっとジーンとさえしてしまうのですが、実はこの二人は架空の人物。69年に起きた「シャロン・テート事件」を実在の人物たちを配して描きながら、そこにこの架空の二人を配置したアイディアが秀逸なんです。

そんなストーリーに至った経緯や、撮影時のこと、そしてこの時代がどう「面白い時代」なのかーー。たっぷり約1時間語ってくれた記者会見の模様をお届けします。

“#706 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』 レオナルド・ディカプリオ&クエンティン・タランティーノ会見レポート” の続きを読む

#705 響きあうアジア 2019「東南アジア映画の巨匠たち」~ 『見えるもの、見えざるもの』 カミラ・アンディニ監督インタビュー

 

皆さんは、カミラ・アンディニという映画監督をご存じですか?

1986年生まれの彼女は、インドネシア映画界を牽引してきたガリン・ヌグロホ監督の娘さん。デビュー作『鏡は嘘をつかない』(11)が東京国際映画祭でも注目され、第2作『見えるもの、見えざるもの』は2年前の東京フィルメックスで最優秀作品賞に輝きました。

そんなカミラ監督が先月、来日しました。東南アジアのパワフルな名匠たちの作品を集めた特集上映<響きあうアジア 2019「東南アジア映画の巨匠たち」>で『見えるもの、見えざるもの』が上映されたのです。

こちらの映画は残念ながら日本でまだ配給されていませんが、インドネシアならではの表現で、病の弟を案じる主人公の心のありようをみずみずしく描いています。以前からお話を伺ってみたかったカミラ監督にインタビューさせていただきました。

“#705 響きあうアジア 2019「東南アジア映画の巨匠たち」~ 『見えるもの、見えざるもの』 カミラ・アンディニ監督インタビュー” の続きを読む

#704 メモリーズ・オブ・サマー ~ アダム・グジンスキ監督インタビュー ~(2)

 

前回に続いて お届けするのは、公開中の『メモリーズ・オブ・サマー』を手掛けたポーランドの注目監督、アダム・グジンスキ監督のインタビュー。

主人公は12歳の少年、ピョトレック。30代のお母さんは夫が出稼ぎに出ている淋しさから、12歳の息子にどこか恋人のように接します。

境界線をにわかに踏み越えそうな母子関係の危うさが、70年代のちょっと懐かしい空気と共に、観た人の心に焼き付くような瑞々しい夏の風景の中に描かれています。

グジンスキ監督はどんな思いから、この物語を描こうと思ったのでしょうか。

“#704 メモリーズ・オブ・サマー ~ アダム・グジンスキ監督インタビュー ~(2)” の続きを読む

#703 メモリーズ・オブ・サマー ~ アダム・グジンスキ監督インタビュー ~(1)

 

道路の水たまりに、後ろ姿の母子が映るーー

この美しいオープニング・シーンを観ただけで、映画館に観に来た人は「来てよかった」と思うのではないでしょうか?

3月にご紹介した『希望の灯り』のトーマス・ステューバー監督といい、世界にはまだまだ知られざる才能溢れる監督がいるもの。

ポーランド出身の注目監督、公開中の『メモリーズ・オブ・サマー』を手掛けたアダム・グジンスキ監督にインタビューしてきました。

“#703 メモリーズ・オブ・サマー ~ アダム・グジンスキ監督インタビュー ~(1)” の続きを読む

#702 こどもしょくどう 日向寺太郎監督インタビュー(4)

 

2ヶ月にわたって掲載してきた『こどもしょくどう』日向寺太郎監督のインタビューも、今回が最終回。

映画が「エンターテイメントのひとつ」として消費されがちな傾向にある昨今。あらためて1本の映画の製作過程に目を向けてみると、そこには観客が受け取りきれないほどたくさんの「決定」が詰まっていることに気づかされます。

映画作りは、ゼロから作品世界を作り上げる作業。何気なく観ていると気づかない細部に至るまで、ひとつひとつを決定しながら1本の作品ができあがっている。『こどもしょくどう』のそんな「ひとつひとつ」。少しだけ掘り下げてみたいと思います。

“#702 こどもしょくどう 日向寺太郎監督インタビュー(4)” の続きを読む

#701 こどもしょくどう 日向寺太郎監督インタビュー(3)

 

子どもの7人に1人が貧困状態にあるといわれる今の日本。平和な「平成」の影にある、声にならない子どもたちの声をすくいあげた映画『こどもしょくどう』が全国で上映されています。

日向寺監督のインタビュー第3回。今回は、子どもの視点から子ども食堂を描いたこの映画を、大人の視点から考えてみたいと思います。

“#701 こどもしょくどう 日向寺太郎監督インタビュー(3)” の続きを読む

#700 こどもしょくどう 日向寺太郎監督インタビュー(2)

 

先週、ご紹介した映画『こどもしょくどう』。

子ども食堂というものが必要とされ、世の中に生まれる背景には、社会の片隅に生きる子どもたちの声にならない声があるーー。そこに焦点を当てたところに、この映画の美しさがあるように思います。

子どもたちの自然な演技を引き出した演出には、ある大きな「賭け」があったそうです。どういうことなのでしょうか。今週も日向寺太郎監督のインタビューをお届けします。

“#700 こどもしょくどう 日向寺太郎監督インタビュー(2)” の続きを読む

#699 こどもしょくどう 日向寺太郎監督インタビュー(1)

 

3月23日に岩波ホールで公開された映画『こどもしょくどう』。先週末4月6日(土)からはヒューマントラストシネマ有楽町他に上映館を移し、公開規模を広げて上映されています。作品のこと、映画の撮影が行われた両国・あづま家さんで、日向寺太郎監督に伺いました。

“#699 こどもしょくどう 日向寺太郎監督インタビュー(1)” の続きを読む

#698 希望の灯り トーマス・ステューバー監督インタビュー(2)

 

上映中のドイツ映画『希望の灯り』。

前回に続いて、来日したトーマス・ステューバー監督とともに、この映画の魅力を掘り下げていきたいと思います。

前回、「この映画のスーパーマーケットは、ひとつの神聖な宇宙」というお話がありましたが、この店でさり気なくお互いを見守りながら、緩やかな共同体を築いている孤独を抱えた登場人物たち。その様子がいいのです。

まずは、こちらの二人。

“#698 希望の灯り トーマス・ステューバー監督インタビュー(2)” の続きを読む