#741 『あちらにいる鬼』 井上荒野さん&廣木隆一監督 トークつき上映会リポート vol. 1

本日から公開される『あちらにいる鬼』は、父である作家・井上光晴と瀬戸内寂聴、そして母の3人をモデルに描いた井上荒野の小説の映画化。2019年に単行本が出版され、大いに話題になりました。

そんな映画の公開を控え、昨年、亡くなられた瀬戸内寂聴さんの命日を翌日に控えた11月8日、井上さんと廣木隆一監督を招いてのトークイベントが行われました。貴重なお話の数々、お届けします。(MC:奥平レイラさん)

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#740 第23回東京フィルメックス

今年で23回目を迎えた東京フィルメックス。

まず注目したいのは東京国際映画際との共催であるツァイ・ミンリャン監督の特集上映。

フィルメックスでは「ツァイ・ミンリャン監督デビュー30周年記念特集」と題して『ふたつの時、ふたりの時間』(01)、『西瓜』(05)、『ヴィザージュ』(08)の3作品が上映されます。

それぞれの上映後にはツァイ・ミンリャン監督のトークも。東京国際映画際と同じく、こちらのトークも開催後も映画祭の公式YouTubeで視聴できます。 “#740 第23回東京フィルメックス” の続きを読む

#739 第35回東京国際映画祭

昨年から大きく体制を変え、会場を日比谷・有楽町・銀座周辺に移した東京国際映画祭。

有楽町駅前に上映作品の大きなボードが設置され、街ゆく人たちが足を止める光景が見られましたが、今年もそんな季節がやってきます。

さまざまな作品が上映される中、映画祭の顔である「コンペティション部門」には日本から3人の監督の作品が。『トイレのピエタ』(15)や『ハナレイ・ベイ』(18)などで知られる松永大司監督、『愛がなんだ』の今泉力哉監督は、すでに注目している方も多いと思いますが、ここで取り上げたいのが福永壮志監督。 “#739 第35回東京国際映画祭” の続きを読む

#738 ボイリング・ポイント/沸騰

公開中の映画『ボイリング・ポイント/沸騰』。もうご覧になりましたか? こちらの作品、90分間にわたる全編がワンショットで描かれているのです。

全編ワンショットというと、

ヒッチコックの密室劇『ロープ』(1948) や

アカデミー賞で作品賞を受賞したアレハドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督の『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(2014)

サム・メンデス監督の『1917 命をかけた伝令』(2019) あたりを思い出される方も多いのではないでしょうか。

そんな作品の中でも驚かされるのが、こちらの作品、編集もCGも入らない正真正銘のワンショットだということ。次第に高まる有機的なエネルギー。監督と役者が集まって作った映画だということを忘れさせるほど、そこには本物のレストランが活気づいています。 “#738 ボイリング・ポイント/沸騰” の続きを読む

#736 夏休みの映画館 2022

学生の皆さんは、今日から夏休み。「夏休みの映画館」という企画をご存じですか?

全国のミニシアター劇場支配人の方々が、夏休みを迎えた小学生~大学生のみなさんに観てもらいたい映画を、それぞれの視点からピックアップして上映するという、なんとも心のこもった1週間の特集上映。高校生以下は500円で楽しめます。

シネコンで上映される大作以外の映画とは、出会う機会が限られてしまう今。1本の映画との出会いをきっかけに、世界にはこんなに多様なワクワクする映画が、そして世界があるのだということを知ってもらえたらという思いから、映画の上映と共に、楽器の演奏やトークイベントも開催されるなど、夏休みの忘れられない「出会い」の場になっています。 “#736 夏休みの映画館 2022” の続きを読む

#735 SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2022

今年もSKIPシティ国際Dシネマ映画祭の季節になりました。

SKIPシティというのは、埼玉県川口市にある映像施設。映像を上映するホールはもちろん、プロの映画制作から、一般のお客さんがニュースキャスターやグリーンバックの合成などの映像制作を体験できるミュージアム、NHKの過去の番組が楽しめるアーカイヴなど、さまざまな用途に合わせた映像設備が揃います。

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭は今年で19回目。SKIPシティの二つの映像上映ホールを会場に、国内外の新作映画を募集し、新しい才能の発掘・育成を目的に毎年、この季節を中心に開催されてきました(昨年は秋に開催)。

日本国内にも様々な映画祭がありますが、東京国際映画祭や東京フィルメックスのように、国内外の新作映画のコンペティション機能を果たす国際映画祭が、東京以外の都市を拠点に開催されてきたというのは画期的かつ面白いことだと思います。

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#734 ベイビー・ブローカー vol.4 ~是枝裕和監督 凱旋記者会見を振り返りながら~

前々回からお届けしている『ベイビー・ブローカー』の記者会見リポート。

映画を観て、これまでの是枝作品よりも、大切な場面の感情を言葉で表していたり、描かれる人物たちの行く末に希望が感じられたという人も少なくないのではないでしょうか。やはり会見でも、そんな質問が聞かれました。

カンヌで主演男優賞を受賞したソン・ガンホさんの印象をはじめ、皆さんが気になる色々なお話、今回も会見中のやりとりを大切に、お届けしたいと思います。

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#733 ベイビー・ブローカー vol.3 ~是枝裕和監督 凱旋記者会見を振り返りながら~

前回からお届けしている『ベイビー・ブローカー』記者会見の模様。

ここからは、この日集まった多くの取材陣から寄せられた熱心な質問とその答えをお届けします。ひとつの質問から広がる答えがとても豊かな是枝監督。その模様をできるだけ忠実にお届けしたいと思います。

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#732 ベイビー・ブローカー vol.2 ~是枝裕和監督 凱旋記者会見を振り返りながら~

前回からお届けしている映画『ベイビー・ブローカー』。カンヌ国際映画祭でソン・ガンホさんが主演男優賞を受賞したことでも話題になりましたが、もうご覧になりましたか?

是枝監督の作品は「行間」に魅力がありますが、それは監督自身のお話にも云えること。

5月に開催されたカンヌ国際映画祭から、そのまま韓国に向かって映画のプロモーションを行い、帰国した空港からの足で駆けつけた凱旋会見。やはり、そのやりとりは面白かった。すでに各媒体で報道されていますが、あらためて、そんなやりとりも中心に、会見の内容を振り返りながら、この映画の魅力を考えてみたいと思います。

6月中旬に都内で開かれた凱旋記者会見

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